ご存じの方も多いだろうが、Bリーグは26-27シーズンより競技順位によってカテゴリの昇制格があるリーグから、球団の収入、観客動員、アリーナの収容人数の三基準から所属するカテゴリが決められ、原則昇降格はなしというリーグ形態に移行する。

トップリーグに相当する「B-プレミア」への参入基準は
・売上高12億(ただし9億以上なら余地あり)
・入場者数4,000人(同じく3,000人以上なら余地あり)
・収容人数5,000人以上のアリーナ確保
審査の結果、当初の「18チームあれば6チーム×3地区でなんとか体裁が保てる」というリーグの思惑を大きく超えて26チームが審査を通過した。逆に言うとこれだけ合格したので、この先しばらくは基準を下げて頭数をそろえる必要はない、ということになる。(しいて言うならチーム数を偶数にそろえる時ぐらいか?)
基準に対して、アルビBBの現状はというと
シーズン | 売り上げ(億円) | 1試合平均入場者数 |
24-25 | – | 2,418(25/2/4時点) |
23-24 | 7.4 | 1,766(B2最下位→B3へ降格) |
22-23 | 7.2 | 2,361(B1最下位→B2へ降格) |
21-22 | 4.7 | 1,315(コロナ観客数制限) |
20-21 | 5.3 | 1,444(コロナ観客数制限) |
19-20 | 5.6 | 2,745(コロナでシーズン打ち切り) |
18-19 | 6.2 | 3,266(シーズン地区優勝) |
17-18 | 5.0 | 3,092 |
16-17 | 3.6 | 3,015 |
売り上げ、入場者数ともに未達。
アリーナの収容人数はアオーレ公式より
2階…955席 3階…1,217席 1階ロールバック席…780席 可動席…770席
(ロールバック席がベンチ裏、ベンチ向かいのサッカーで言うメイン、バックに
相当する部分。可動席が両エンドの同じくサッカーでのゴール裏に相当する部分)
ここまで全部足して3,722席。あとは平置きする仮設のパイプ椅子が300席とすると4,022席。立ち見を全座席の1割として4,400人くらいか…
一応過去の入場者実績では
日付 | 入場者数 | 対戦 | 注釈 |
16/10/1 | 5,286人 | SR渋谷 | B開幕ホーム初戦 |
19/4/27 | 4,630人 | A東京 | プレーオフ準々決勝第1戦 |
19/4/28 | 4,835人 | A東京 | プレーオフ準々決勝第2戦 |
と5,000人近く(以上)入った試合もあるのだが、これはかなり詰め込んだ特殊な状況であり、これをもって「5000人入るアリーナでござい」とは言えないだろう。
要は売上、動員、アリーナ全部基準未達でこれから一つ一つ基準をクリアしてプレミア参戦がかなう、というのが現時点でのアルビBBの立ち位置である。
もっともアリーナに関しては今使用しているホームアリーナがたまたま基準を充足しているか、いないかという部分も大きく、例えば

信州ブレイブウォリアーズのホームアリーナ・長野ホワイトリング。
長野オリンピックのフィギュアスケート、スピードスケートショートトラック会場。
五輪後は体育館に改修。バスケ・バレーなどの球技で使用。
オリンピック会場とあって収容人数は多く5000人。
→信州はプレミア参入

今年B1昇格した越谷アルファーズのホームアリーナ・越谷市立総合体育館。
いたって普通の市立体育館。収容人数4,472人。
→越谷はプレミア参入見送り
越谷は今シーズン、来シーズン2シーズンB1の舞台で戦って、「あとはアリーナだけ」という機運をもって26-27シーズンからは現B2に相当するB.oneリーグに参戦する。
もちろんプレミア開幕に合わせて、基準を充足するアリーナ建設に動くチーム・自治体も多い。例えば秋田では新アリーナの計画は立ったものの建設費高騰で入札不調→このままでは秋田はプレミア参戦できない→県議会でかなり急いで建設費増額を可決→何とか入札成立→参戦審査通過と自治体まで巻き込んで参戦を決めた。
正直、アルビBBは今年何とかプレーオフに滑り込んで、勝ち抜いて25-26シーズンにB2に戻れるか戻れないか、そんなところに汲々としている場合ではないのだ。(どのみちこのまま経営破綻でもしない限り26-27シーズンにはB.oneに自動参戦する)
本気で30年プレミア参入という目標に向かって、どのように活動計画が立てられ、達成度はいかほどか、という視点でチームを経営していかないと、下手すると一生B.oneのまんまということも十分考えられる。
そんな中、売り上げと入場者数は自分たちの努力で何とかなる部分も大きいので、一番心配なのはやはりアリーナをどうするかということに尽きる。
(1)アオーレを5000人入るように改修
ざっと見た感じでは難しいように感じますが、専門家ではないので(ウルトラCがあるのかもしれない)
(2)アリーナ基準未達でも他基準を達成して、政治力でプレミアに入る
今背伸びして数字を作って参入を果たしたチームの中には、プレミアが始まると基準未達になってしまうところも出てくると思う(特に入場者数) そんな中で例えばアルビBBが入場者数は3,500人くらいだけど常にアリーナは満員、収入もそん色なく、B.oneでの強さもなかなかのもの、そんな時に(バスケ界の)政治力でプレミアに参入できないか
(3)新アリーナを建てて(もらう)
やっぱこれが本命になるかと思う。建ててもらうと書いたのは長崎、A東京、千葉Jのように自前で資金調達して建てたところもあるが、アルビBBではさすがにとてもとてもでしょう。
となると自治体に建ててもらうしかないのだが、対象は長岡市、新潟市、新潟県あたりか…
長岡市にアオーレがあるのに新アリーナを建てる余力はあるのか?
新潟市のスポーツ施設移転構想も鳥屋野球場をそのまま野球場に建て替えることになって、早くも構想が破綻した。新潟県も差し当たって動きはなし。
なにより県内では一番の人気スポーツであるサッカーでさえ、次期スタジアムの構想すら立っていない状況である。
でもまあ、しゃあないっちゃあしゃあないんだよなあ…
アオーレの構想が持ち上がった00年代後半。まだ日本の男子バスケ界はプロであるbjリーグと、実業団リーグ(JBL→NBL)に分裂していた。ここから2つのリーグが統一されてBリーグが開幕し、ましてやブームにのってどんどんお客さんが増え、クラブの売り上げも大幅に上がるとは予想がつかんでしょ。
いまやプレミア参戦基準で作った5000人収容のアリーナではチケット入手も難しく、「もうちょっと大きく作っておけばよかった」とうれしい後悔すら聞くらしい。
それでも道がある限り、というか「30-31年にプレミア参戦を目指す」と言っちゃってる手前、状況をきちんと公開して周りを巻き込んで機運を高めてかない限りどうにもならんとは思います。現経営陣にはまずこの「アリーナ建設の機運を高める」ここを真剣に取り組んでほしい。
ちょっと今回は固い内容になってしまいましたね。
新潟市のスポーツ施設構想に関しては、サッカー、野球、バスケ、陸上他のスポーツで、競技者、プロクラブ経営者、各競技のファンが絡む大きな問題なので、いずれは取り上げたいなと思っています。
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