
今年のオフは巨人、ロッテ、ソフトバンク、ベイスターズ4球団がドキュメンタリーを映画館にて公開している。ついでにいうとファイターズもオンデマンド配信してるし、他にもあるかも…
こういうのは「全国公開」をうたっておきながら、全国のプロ野球本拠地都市で公開くらいが実のところで、事実昨年のロッテ映画は見事に新潟は外された。まあ、新潟でロッテの映画をやってどれだけの人が見に来るか(失礼!)なんだろうけど、今年は4球団ともきっちり新潟が入っている。これもまたオイシックスの参戦効果と言えば効果なのだろうか…
うち1/24から公開の巨人を除き、3球団は年末年始のいわゆる「正月興行」に当ててきた。じゃあどこのファンでもないワシはどれを見に行こうか、と選ぶと24シーズンはベイスターズですかね…
公開1週目は一日二回上映だったのが二週目に入り一日一回に。座席数100ほどのスクリーンに半分くらいの入り。
タイトルからわかる通り日本一までの79日、8月中旬から物語は始まる。この思い切った切り方がよい。おかげで上映時間は80分。開幕前からだらだらやれば2時間くらいになりそうだけど、だんだん長い映画が集中できなくなってダメになってきた。だから短くてもさほど不満はない。映画は2時間、野球も2時間半以内でサクサク行きたいところ。
スポーツチームのドキュメンタリーにネタバレもへったくれもないのだろうが、ご存じの通り昨年のベイスターズはリーグ優勝は逃して、3位からのCS勝ち上がり→日本シリーズも2連敗からの4連勝で日本一という戦績だった。これもまた映画のストーリーとしてはいいんだなあ… いったん挫折を味わった後、雪辱を果たす。ベタだが感動する王道ストーリー。これだったらリーグ優勝なんてしないでよかったんや、とつい思わなくもない。いやダメですけど…
ただこういうベタなストーリーもいいけど、前に見た19年のドキュメンタリー。今年限りで退団してメジャー挑戦が既定路線のキャプテン筒香。CS1st第3戦、一点ビハインドで迎えた9回裏。筒香の日本最後になるであろう打席。フィクションならここで筒香は絶対に打たねばならない。だがあえなく凡退、チームもそのまま敗戦して1stで敗退。この身もふたもない圧倒的な現実感。これもスポーツもののドキュメンタリーの持ち味で、どっちが好きかと言われると、ワシはこっちの身もふたもない方が好きだったりする。
今年のベイスターズはシリーズで対戦したソフトバンクのように、圧倒的に実力が抜きんでていたから勝てたというよりも、シーズン終わりになるにつれ一致団結してどんどん勢いがまして素晴らしいチームになったので日本一になれた、というところに異論をはさむ人はあまりいないだろう。
キャプテン牧がチームを引っ張り、前キャプテン佐野、前々キャプテン筒香がそれをサポート。シリーズの流れを変えた連敗後のミーティング。そういうストーリーの構成上欠かせない骨格も拾われていたが、それよりもワンプレーごとに一喜一憂して盛り上がるチームの団結がうかがえるシーンの一つ一つがよかった。
例えば福岡ドームではベンチとロッカーの間に控室みたいな30人ほどが入れるスペースがあるようで、普段はベンチ入りしないコーチ・スタッフ・選手らが詰めている。ベンチ入り選手もちょくちょくロッカーに用事があるときはこのスペースを通っていくのだが、交わす言葉の格好良さ。まさにチーム一丸となって戦っている。「戦う集団ってのはこういうものなんだなあ」と改めて実感。
短編ながら佳作に仕上がった。後味が何よりもよいので他球団ファンでも楽しめるだろう。
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