気仙沼への旅 #1 気仙沼線BRT

さて、三陸沿岸の旅二回目は宮城県の北端・気仙沼市を目指す。仙台から東北本線で北上、小牛田(こごた)で石巻線に乗り換え、さらに前谷地(まえやち)で気仙沼線に乗り換え。約二時間かけて終点の柳津に到着。ここで線路が途切れて左側から舗装道路が入ってくるのはなんでか、と言うと…

この先は津波被害が甚大だったため、鉄道での復旧をあきらめBRTとして線路を舗装道路にして再開することになったから。

BRT車内。まあいたって普通の路線バス。特に何があるわけでもないが、BRT開業にあたってこのバスもあつらえたのであろう、地方のバスとしては比較的新しい車体。

もともと気仙沼線は単線だったので線路=バス一車線分くらいの幅。なのですれ違う時は駅できちんと時刻通りにすれ違う。(もっとも線路と違ってバス一台分スペースがあればすれ違い可能なので、駅の場所にかかわらず適当に交換所を設置して、ダイヤの柔軟性を高めている)

本来なら海を眺めながら「いい景色~」と汽車旅気分に浸るところだが、ご覧の通り高い防潮堤に阻まれ海は見えない。誰もが風光明媚なおらが街はそのままにしておきたい、でも人命が失われるわけにはいかない。これが実際に災害を経験して出した苦渋の決断なのだろう。

バスにはトイレはついてない、トイレ休憩もない、椅子もリクライニングもしない、乗り続けるとけっこうしんどい。乗ること2時間、仙台からは都合4時間かけて、宮城県最北の地気仙沼に到着。

ほんらい気仙沼駅からは南(今乗ってきた気仙沼線)、東(内陸の一ノ関方面)、北(大船渡方面)三方向に鉄道が延びるジャンクションだったのだが、海岸沿いの二路線はBRT化されてしまった。駅も線路をかさ上げしてバス乗り場になったホームと、従来の鉄道用のホームが並ぶ。

BRTになって唯一よくなったのは運行本数が増加したことだろう。鉄道時代は二時間に一本くらいの頻度だったが、バスになって概ね1時間に1~3本になり乗りやすくなった。鉄道よりも輸送力が小さくなったのだから、その分本数でという思想だろう。ただ鉄道もワンマン列車ならバスもワンマンバス、ということは一本ごとに運転手が一人必要になる。この先の人手不足時代を迎え、いつまでこの本数が維持できるか… というのはちょっと先行き不明。

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